♬ 揺れるこころ

拙歌「揺れるこころ」は信じるものがわからずもがいていた18歳のときの作品です。50年以上たった今でも自分に問いかけています。「信じるってどういうこと?」「愛するってどういうこと?」「自分ってなに?」…。思春期に意識されやすい”愛”は恋愛に限ったものではありません。愛は底深く形のないもののように思えます。それにしても今でも思春期の音源が残っているのが自分でも不思議です。

 心理臨床体験の中肌で感じることですが、日常生活の中で”愛”を意識することはときにあるかもしれませんが、これは「愛している」や「愛されている」状態を指し示すことが多いようです。日常生活においては”愛憎を含む愛そのもの”を意識するというよりも、”愛”は自分に対しても他者に対しても心地よいときとして感じられるようです。その流れの中で信じるという心がわずかに動き感じられる…人の心の姿は揺らぎと一時停止の繰り返し、または偏りのようです。心の振幅が小さい時を「心理的安定」と表現し、心の振幅が大きい時を「不安定」と言い表すのでしょう。前者は”愛”を意識させ、後者は信じる心”を発動させるのかもしれません。愛は主体がなくとも現れるのに対して、信じる心の発動には自分と言う主体が必要です。信じるとは、なまやさしいものでないことがわかります…。