『東山紘久先生を偲ぶ会』が開催されました!

主賓は妻の東山弘子先生(前佛教大学大学院教授)です。
 2024年8月3日(土)13時から17時15分まで、ホテルグランヴィア京都5階古今の間で開催されました。予定では14時から開かれるはずが、参加者31名はすでに13時には来場。最初から熱気に包まれていました。参加者は東山紘久先生(以下紘久先生と略す)からスーパービジョンを受けた方々であり、その結果、臨床心理学を担う研究者が多数集まりました。
 皆藤章先生、菅野信夫先生、倉光修先生、西井克泰先生、藤田裕司先生、薮添隆一先生、山下一夫先生(あいうえお順)と小山充道も発起人となりました。「東山紘久先生~研究の足跡」と「東山紘久先生との出会いと思い出」の2つの冊子が作成され、当日配布されました(非売品)。私は居住地の関係であまりお手伝いができず、申し訳なく思っております。
 「東山紘久先生~研究の足跡」は業績目録と写真集で、在りし日のカール・ロジャーズと紘久先生の写真が掲載されています。「東山紘久先生との出会いと思い出」は参加者全員が認めた「各個人の紘久先生との思い出集」です。紘久先生は若い頃は心理臨床にとても厳しい先生でしたが、年を経て穏やかになり、高齢期はまるで仏様のように、お日さまのように人を包み込むような先生になられたというお話をお聴きしました。
 私は25歳のときに東山研究室の大学院生として初めて紘久先生にお会いし、以来長年にわたって公私ともにご指導をいただきました。紘久先生は2008年9月まで京都大学理事・副学長を務められ、2021年3月23日ご病気のためこの世を旅立たれました。奇しくも河合隼雄先生がご逝去された年と同じ79歳でした。
 河合隼雄先生、東山紘久先生、そして個人指導を受けた氏原寛先生も皆天国に行かれました。日本の心理臨床を切り開いた先生方が次々とその役目を終え旅立たれる…なんとも胸が痛くかつ熱くなるこの頃です。今ある臨床心理士指定大学院のシステムを作られた先生方です。
臨床心理学不毛の時代から臨床心理学全盛の時代へ…。そして今ひとつの転換点…なのかもしれませんが…、臨床心理士養成については、今も変わらず発展中です。臨床心理士は臨床心理士指定大学院修士課程で養成します。実際は心について関心を深めた成人の方々も入学されます。すでに問題意識をもっている方々です。日本特有の文化を背景に独自に発展を遂げた日本の臨床心理学は、日本人にとっての大切な学問的な財産です。
 一度取得したら永久に保持される資格とは違って、臨床心理士資格は資格取得後5年ごとに資格を更新するシステムを採用しています。つまり生涯研修を求めているのです。人の心にふれるには、この程度の厳しさは必要でしょう。
 臨床心理士指定大学院付属の心理臨床相談室は臨床心理士養成のためにあります。ここで大学院生は外部の方の相談をお受けし、生の心理臨床面接を実体験する。指導の先生は大学院生の臨床指導にあたります。個人と個人とのつながりが深くなり(専門家としてのつながりを勉強します)、人間の思いへの関心が深まります。人の心を変えるのは人の心…先人の教えです。人の心は見えないが確かにある何か。人間科学の中に臨床心理学を収めようとする努力は今も続いています…。
補記1:写真は「東山紘久先生との出会いと思い出」序章より転載。在りし日の東山紘久先生の横顔です。東山弘子先生の許可をいただきました。
補記2:本文のホームページ掲載については、関係する先生方全員の許可をいただきました。
 いろいろな意味を込めて、ありがとうございました!